日本の伝統建築でもある神社や仏閣で使われている瓦屋根ですが、
歴史も深く一般住宅でも多く使われてきました。
しかし、時代や環境の変化と共に、瓦屋根の住宅は減ってきています。
大きな理由は3つ
- 地震対策をする人が増えた
- 日本瓦、洋瓦よりも安価な材料の普及
- メンテナンス費用が高い
時代に合わなくなってきているのは事実ですが、
瓦屋根にも良いところやメリットはたくさんあります。
この記事をお読み頂ければ、【瓦屋根の知識が身につきます】
悪いリフォーム業者はこのように、言って高額リフォームをすすめてきます。
瓦は重いから、地震がきて真っ先に潰れるのは、瓦屋根の住宅からです。
屋根に軽自動車3台分の重量が乗っているんですよ。潰れたら一発アウトです。
このように不安ばかり煽ってくるような業者さんには注意が必要です。
この記事をお読み頂ければ、
瓦屋根のメリット、デメリットを分った上で、屋根リフォームについての正しい判断が出来るようになります。
是非最後までお読み頂ければ嬉しいです。
僕は、屋根、外壁の専門のリフォーム会社で年間30件以上ものお客様と出会い、工事をしてきた経験があります。
リフォーム業界で10年以上、営業活動、施工管理を一貫して行う
その内、3年間は、外壁、屋根リフォーム専門の訪問販売を経験
年間約30件以上の屋根工事に携わる
所持資格:二級建築士、二級建築施工管理技士、石綿管理主任者
33歳の時に、大手リフォーム会社に転職成功
瓦屋根のメリットとデメリット
屋根瓦のメリット、デメリットを比べて行きましょう。更に、10年以上リフォームを経験してきて、実際にどんなお客様が瓦をやめて葺き替えをしてきたかも、解説していきます。
瓦屋根のメリット | 瓦屋根のデメリット |
建築物が安定する(風に強い) 遮熱効果が高い 耐久性が高い メンテナンス期間は20年以上 | 重い、地震に弱い 建築物に負荷がかかりやすい 雨漏り修理は高額になる可能性が高い 瓦を取り扱う職人の減少 |
瓦屋根のメリット
瓦屋根は、重いので建築物が安定します。
台風などの横風に強く、どっしりした安定感を出すことができます。
この事を知らずに、重いから、という理由だけで、
軽い屋根に葺替えばかりすすめてくる業者さんも多いです。
しかし、最近では瓦も突風による被害が増えてきています。
昔の瓦屋根は構造上瓦桟木に置いてあるだけなので、
あまりにも強い突風が吹くとこのようにめくれてしまう事も、、
築年数が古く、風の影響が強い地域は注意が必要です。
また、屋根瓦の一番のメリットは遮熱効果です。
屋根に当たる直射日光を瓦が反射、吸収し、放出してくれるため、
屋根裏部屋や2階のお部屋などの室温上昇を防いでくれます。
屋根材の中で、ずば抜けて遮熱性が高いのが瓦屋根です。
地球温暖化で年々夏の気温も上昇傾向にあります。
そんな暑さから瓦屋根は自宅内の快適を保ってくれるのです。
瓦屋根のデメリット
瓦屋根のデメリットには、
- 重い、地震に弱い
- 建築物に負荷がかかりやすい
- 雨漏り修理は高額になる可能性が高い
- 瓦を取り扱う職人の減少
このようなデメリットがあるとお話しました。
中でも、瓦屋根が崩れてしまったり、ズレてしまった時の修理費が高額になりがちなのと、
一番深刻なのは、
【屋根瓦を取り扱える職人さんが減っている事】です。
実際僕の知っている協力企業様で瓦の取り扱いがあるところは一社のみです。
リフォーム業者紹介サイトを利用すると効率良く瓦の取り扱いがある業者さんを探す事ができます。
気軽に相談できるサイトばかりを紹介しているので、有事の時に備えましょう。
また、瓦の重量が重たい事から、壁や開口部などに負荷がかかりやすいです。
基本的には、
屋根に瓦を用いる場合、壁や柱にも厳しい構造計算式があり、
その基準を満たすように作られているので、過度に心配する必要はありません。
しかし、築年数が30年40年となってくれば話は別です。
柱や壁などのお家全体も経年劣化により、弱くなってくるのでメンテナンスが必要になってきます。
壁のひび割れ、開口部のひび割れ、特に2mmを超えるひび割れには注意が必要です。
どんなお客様が瓦をやめて葺き替えしてきたか?
それでは、瓦屋根の御住宅にお住まいで、瓦屋根から軽い屋根に葺替えしたお客様の声を紹介していきます。
事例その①、築年数35年、二世帯住宅
外壁の塗装をお願いしたいのですが、外壁のひび割れが気になります。補修すれば大丈夫でしょうか?
お家が大きいので、瓦屋根の重さが根本原因の可能性が高いです。補修は可能ですが、ひび割れの進行が気になるのであれば、瓦を軽いものにする事をおすすめします。
最近、扉の立て付けが悪いのか、扉が閉まらない部屋があるのもそのせいですか?
可能性は高いです。
事例その②、築年数40年、70代ご夫婦の二人暮らし
実は雨漏りもしているんじゃ。ずっと不安だったし、体力があるうちに大きいリフォームは済ませておきたい。
そうなんですね。瓦をやめて葺き替えれば、屋根からの雨漏りは100%止まります。
今後もうお家の心配はしなくて良くなるかね?
雨漏りの心配は一切なくなりますね。
事例その③、築年数40年、70代ご主人一人暮らし
瓦屋根で今まで一度も、メンテナンスした事がない。最近は瓦がズレてきたように思える
瓦の積み直しか、もしくは、下の防水シートを貼り替えた方が良いかもしれませんね。
なるほど。積み直しても、ズレたりする心配もあるし、瓦も古いし、軽い瓦の見積りもくれるかい?
承知しました。
このように、多くのお客様は、
- 重さの解消
- 雨漏り対策
このふたつの事から、リフォームに踏み切るお客様が多いです。
意外とシンプル?瓦屋根の構造
瓦屋根の構造というのは意外とシンプルなんです。
骨組みの上に、野地板という木のコンパネが敷いてあり、
その上に、防水シート(アスファルトルーフィング)
ルーフィングの上に瓦桟木を取り付けて瓦を固定していきます。
現在の瓦屋根は、スタイリッシュでオシャレですね。
瓦桟木に瓦を下から固定していきます。
突風で飛ばないように瓦ひとつひとつを固定するのが今の瓦の工法です。
雨からお家を守ってくれるのは、防水シート一枚だけです。瓦自体に防水性能はありません。
瓦の役目は、直射日光から防水シートを守る遮熱効果がある仕上げ材です。
屋根の構造は、意外にシンプルなんです。
瓦屋根にかかるメンテナンス費用
実際に瓦をメンテナンスするとしたら、いくらくらいの費用がかかるのか気になる方は多いと思います。
そんな方の為に、瓦屋根にかかるメンテナンス費用を内容別に解説していきたいと思います。
だいたいのメンテナンス費用を概算で紹介しますが、屋根の大きさによって大きく左右されます。
※足場代は含んでいません
棟瓦の積み替え(15~50万円)
瓦屋根の雨漏りの約8割は棟部分からくるものです。
低予算で効率良く雨漏りを止める方法として、棟の積み替え工事を行う事が多いです。
費用も安く抑える事が出来るので、予算があまりない人にとってはオススメの工法です。
棟の積み替え工事のメリット | 棟の積み替え工事のデメリット |
低予算で工事可能 棟からの雨の進入防止 雨漏りが止まる可能性がある | 雨漏りを確実に直すものではない 地震などによりまた同じようになる |
昔は棟の固定に漆喰(しっくい)が使われていました。
しっくい自体は良い商品なのですが、硬化するとパラパラと崩れ落ちてしまう特性があるので、
今は【樹脂製のシルガード】がよく使われています。
これにより、以前よりも長期間、棟部から雨の侵入を防ぐ事ができます。
防水シートを張替える(70~120万円)
お家を雨から守ってくれるのは、防水シート(アスファルトルーフィング)一枚だけという事はわかったと思います。
逆に、瓦自体の寿命40年以上保つものもあり、耐久性はめちゃくちゃ高いです。
そこで、先に寿命がきてしまう【防水シートだけを張替える】といった工事方法もあります
防水シートの金額自体はそんなに高い物ではありません。
金額が高いのは屋根材本体です。
瓦屋根の場合、まだ使える瓦は再利用して、下の防水シートだけ入れ替えて、瓦をまた綺麗に積み替えれば、
防水性能は新築時と同じになります。
使える物は再利用して、防水シートだけやり替える方法は、雨漏り対策だけを見れば最も合理的な方法だと言えます。
防水シート張替え工事のメリット | 防水シート張替え工事のデメリット |
無駄が無い 雨漏りが止まる可能性が高い | 見た目の変化がない シートを入れ替えるだけの割に高額 割れた瓦もそのまま再利用 |
瓦は基本的に長寿命ですが、中には、割れてしまった瓦や、痛みや変形の激しい瓦は高確率であります。
防水シートの張替えだけだと、そういった瓦も再利用せざるを得ません。
形が合えば、割れた瓦は交換して新品の瓦に交換しますが、古い瓦と形が微妙に違ったりするので、隙間ができたり色が違ったり、交換するなら交換するで、色々問題がでてきます。
割れてる瓦や、変形した瓦を再利用すると、そこから雨の侵入が激しくなり、短期間で雨漏りが発生するケースもあります。
防水シートだけ入れ替える場合は、屋根の瓦の状態をきちん隅々までチェックして、提案する事が必要です。
屋根にも登らず、シートの張替えを提案してくる業者さんはあんまり良い業者さんとは言えないでしょう。
瓦をやめて葺き替える(200~300万円)
瓦を下ろして、新しい屋根材に葺き替える方法です。一番費用は高くなります。
しかし、屋根工事というのは、お金をかければ良いかといえば、
実はそうでもありません。
全て葺き替えた場合でも、メリットとデメリットは存在しますので、解説していきます。
葺き替え工事のメリット | 葺き替え工事のデメリット |
屋根が軽くなり、構造部の負担減 屋根から雨漏りの可能性が無くなる 外観がスタイリッシュになる | 費用が高い 重心がかわり、風に弱くなる場合がある 遮熱性能の低下(2階以上が暑くなる) |
このように、デメリットもある事に驚く方もいらっしゃると思います。
瓦屋根のメリットを振り返ってみてみましょう。
- 建築物が安定する(風に強い)
- 遮熱効果が高い
- 耐久性が高い
- メンテナンス期間は20年以上
瓦をやめる=瓦の良さが全て無くなるという事です。
当然、瓦屋根の耐久性、遮熱性、メンテナンス性を考えた場合、
新しく葺く屋根材も良い商品を選ばないといけません。
高額な工事なだけに慎重に考えてたいところです。
30年以上、瓦屋根に住んでいると瓦屋根のメリットに慣れてしまい、
その良さに気がつきにくいです。
本当に瓦をやめてしまって良いのか?一度立ち止まって考えてみて下さい。
現在の主流は洋瓦
残念な事にリフォーム業界では、昔ながらの日本らしい建築はあまり好まれません。
和室を洋室にしたい!
畳をフローリングにしたい。
このように、現在の和風建築を洋風建築にするリフォームの需要が高いです。
逆に、
今ある洋室を、和室にリフォームしたいのですが、流派は裏千家水屋で・・・・・
こんな要望をお持ちのお客様は10年やってて一人しか出会った事がありません。
屋根も同じように、和瓦よりも、洋瓦の方が人気があり、そちらの方が需要があります。
費用は高いが耐久性も高く高級感もある
こんな感じの瓦屋根です。
カラフルでオシャレで海外でよくありそうなデザインになっています。
オシャレで耐久性、デザイン性の高い瓦屋根は高額です。
しかし、新築時に屋根瓦にお金をかけておくと、後々のメンテナンスが楽になります。
瓦屋根は、塗装やカバー工法などの必要性がない為、
メンテナンスの周期に関しては、20年間以上放置で大丈夫というメリットがあります。
それに対して、安価で良く使われる材料のコロニアル屋根材(スレート)は、
10年周期で塗装、20年以上でカバー工法か葺き替えが必要になってきます。
20年放置でこの状態、スレートはバキバキに割れて、修理不可です。
注文住宅やハウスメーカーで建築される方は、コロニアルではなく瓦屋根を選択しておくと、後々のメンテナンスにお金がかからないので、長期的にみると瓦の方がお得なのかもしれません。
まとめ
如何でしたでしょうか。
屋根工事というのは、お金をかければ良いという事ではありません。
色々な考え方はあるかと思いますが、僕が長年リフォームをやっていて出した答えは、
お客様自身が、全てのメリット、デメリットを分った上でどの工事方法を選ぶか決める事です。
リフォームの営業マンは、契約ほしさに嘘をついたり、大きな金額で契約を取ろうとしたり、
営業マンの言葉を鵜呑みにするのは、どんなに信頼をおいている営業マンだとしても、
あまり良いとは言えません。
常にお客様ファーストを考えている僕でさえ、契約はやはり大きい金額の方が嬉しいし、無意識にそっち方向へ誘導している時もあります。
ご自分のお家には、
どんな屋根リフォームが適正なのか?
そこまでお金をかける必要があるのか?
判断するお手伝いが出来たなら嬉しく思います。
そしてある程度、どんな工事がやりたいかが決まったら、リフォーム業者紹介サイトを使って見てください。
同じ工事でも、価格競争が働き、見積金額は必ず安くなります。
下の記事から、良いリフォーム業者さんと出会うコツや、サイトの使い方まで詳しく解説しています。
最後までお読み頂きありがとうございました!それではまた~。