外壁と屋根の塗装やベランダがある場合は、ベランダ防水工事をするとお家を長く持たせる事が可能です
外壁、屋根の塗装工事は10年に一度くらいがちょうど良いと言われていますよね。
本当にそんな頻度でやらなくてはダメなのでしょうか?
答えは、【NO】です。
そもそも10年に一度も塗り替えてたんじゃ、お金も大変だし、塗装工事は、やればやるほど良いという訳でもありません。
塗装工事の正解は、【お家の状態に合わせて適切な間隔で塗装をする】事です。
無駄無くお家を長持ちさせる秘訣ですので、覚えておいて下さい。
今回紹介するのは、築年数20年の戸建て住宅です。もちろん塗装は初めてです。痛みがどこまで進行していて、どんな工事をしたのかを解説していきます
リフォーム業界で10年以上、営業、施工管理の仕事を経験
所持資格:二級建築士、二級建築施工管理技士、石綿管理主任者
転職経歴
外壁塗装の飛び込み営業会社(ブラック企業) 2社経験(年収200万円~500万円)
リフォーム営業会社(ブラック企業) 2社経験 (年収は250万円~300万円)
大手リフォーム会社(ホワイト企業)に転職成功 (年収500万円~600万円)
塗装工事をしようと思ったキッカケ
築20年を過ぎて、目に見える劣化が気になり始めたと施主様は仰いました。
具体的には、
2階のバルコニーから、上を見上げるとこのように雨が染み込み腐ったように見えますね。
バルコニーの劣化。防水が気になるご様子でした。
外壁のサイディングボードはチョーキングは発生しているものの反りも無く比較的綺麗な状態です。
新築時、外壁にもし窯業系サイディングボードを採用する場合、厚さ15mm以上のしっかりしたサイディングボードを採用すると、後々のメンテナンスが楽になります。
最初にお金がかかっても、外壁材は良い物を使っておくと、その後のメンテナンスが楽になります。
どうせやるならと、外壁塗装、屋根塗装、ベランダ防水を工事する事になりました
外壁塗装の効果
外壁塗装の効果は、
- 美観性の向上
- 経年劣化の抑制
- 外壁材の防水性の向上
一言で言うと【経年劣化を抑制】する事ができます。
それぞれ、作業手順と正しい施工方法を見ていきます。
高圧洗浄
まずは、高圧洗浄をします。
高圧洗浄で使う水は【真水】が良いです。
一昔前は、薬剤を混ぜで洗浄力を上げる事で塗料の付着が強くなる。という事から、
薬剤を混ぜてバイオ洗浄をしていたのですが、
僕自身が、イマイチ効果が感じられなかった事と、
業界では塗料マニアと言われているほど、専門知識のある職人さんの話によると
バイオ洗浄は、不純物が多く混入するので、水洗いは【真水】が一番良いよ。
うちはずっと真水でやってる
と、アドバイスを頂きました。
それからは、真水でやるようになりました。結局シンプルが一番なんですね。
車の水洗いも真水が一番良いように、外壁を洗う場合も、【真水】が一番良いようです。
20年間の汚れを高圧洗浄ですっ飛ばします。
サヨナラ汚れたち。
バルコニーは泥だらけです。
洗浄だけでこれだけ綺麗になります
外壁も丁寧に水洗いしていきますよ~。
シーリングの打ち替え
もし、外壁にサイディングボードが使われている場合は、
ボードとボードの継ぎ目である【目地】は原則全て打ち替えます。
このコーキング材の寿命は5年~10年と言われており、
寿命を迎えると、水分が抜け硬化していきます。
カチコチになって、役目を果たさなくなるんですね。
そうすると隙間から、雨水が入ってしまいます。
全ての目地の撤去が終わりました。
一軒分でこれだけ、コーキング材が使われています。
すごい量ですね。
目地の打ち替え時は雨が降るとダメなので、天気を見ながら迅速に作業をすすめます。
撤去後、プライマー※を塗ります。塗布漏れがないように丁寧にやっていきます。
これ、やらない業者さんも結構いるので注意です。
プライマーをやっておかないと目地の接着が悪く、目地が取れてきちゃったりする原因になります。
長期的な品質に関わる大切な工程です。
※プライマーとはシーリング材と壁の接着を強くする役割があります
コーキングを充填してヘラで整えて行きます。
打ち替えたところは、触らないようにステッカーを貼り注意喚起。
乾燥状態を見て塗装工程に移ります。
コーキングの打ち替えは、お金が結構かかるので、予算と相談しながら提案しないお宅もあります。
例えば、新築時、プライマー塗布が丁寧にやっており、コーキング材も長持ちするものが使われている場合、
打ち替える必要性は少ないと判断します。
また、一部だけ劣化が見られる場合は、劣化箇所だけ打ち替える提案をします。
何事も、臨機応変に、予算ありきの工事なので、必要性が少ないポイントは削除していきます。
外壁塗装
外壁の塗装は、下地処理をした上で、3回塗りで行います。
鉄部は、錆び止めと、下塗りを含めて2回塗りです。
良く使われる方法として、
3回塗りの塗り漏れが無いように、色をわざと微妙に変えて塗装する方法もあります。
鉄部をゴシゴシ。
高圧洗浄で取り切れなかった汚れや、錆びなど落としていきます。
地味な作業ですが、
塗装の仕上がりは下地処理で決まります。
角に何かぶつけてしまったような傷がありました。
パテで処理して埋めていきます。
この上から塗装をすると傷が全く分からなくなります。
下塗り1回目
鉄部とサイディング部分は素地が違う為、それぞれの材質にあった下塗り剤を選びます。
中塗り2回目
色を少し変えています。
3回目上塗り
仕上げです。
よく勘違いしている人が多いのですが、
ちゃんと3回塗ったのか?材料ケチってるんじゃないか?
心配だから、もう一回ちゃんと塗ってくれ!
たまーにですが、こういう事を言われます。
塗装は塗れば塗るほど、良いというわけではございません。
塗り重ねれば、塗り重ねるほど、塗料の厚みがでてしまい美観を損ねます。
しかも、液だれや、ムラの原因にもなりますので、
塗膜は出来るだけ、【薄く塗り漏れが無く均一に形成させる事】が綺麗に仕上がるコツです。
プラモデルをイメージしてみて下さい。
コテコテに塗装されムラや液だれがあるプラモデルより、
薄く綺麗に塗装されているプラモデルの方が綺麗ですよね。
この2体のプラモデルを水槽に沈めたとします。
その時の防水効果はどちらも同じです。
屋根塗装の効果
屋根塗装の効果は次の通りです。
- 美観性の向上
- 経年劣化の抑制
- 屋根材の防水性の向上
効果は外壁塗装の時とほぼ一緒です。
良くある勘違いとして、【屋根の塗装は雨漏りを止める効果は無い事】
雨漏りを止めようとする場合はまったく違う方法で解決しなければいけません。
塗装はあくまでも塗装で、材料を保護し経年劣化を遅らせるものだと思って下さい。
高圧洗浄
屋根も、真水で洗います。
汚れを高圧で落とすだけでだいぶ綺麗になります。
下地処理
洗浄が終わったら、下地処理です。
焼き付いたゴミや錆びを落としていきます。
今回は、トタン屋根なので鉄部の塗装方法で行います。
コーキング打ち替えます。
屋根にシーリング材は原則使わない方が良いんですけどね。
今後、雨漏りの原因になりそうなポイントです。
慎重かつ丁寧に打ち替えます。
飛び出した釘の接着、コーキングの打ち替え完了です。
雨風地震など、過酷な環境にある屋根は外壁より早く傷みます。
これで、下地処理完了です。
屋根も外壁と同じく、
下地処理が仕上がりの美しさを決めます。
屋根塗装
下塗り完了。
真っ白です。
2回目上塗り
鉄部は原則2回塗りです。
3回塗る意味が無いからです。
塗装のコツは、
【薄い塗膜を漏れなく均一に成型する事】
完成です。
良いですね。綺麗です。
艶々してます。
最近多いご要望として、この艶が嫌だというお客様には、艶消し塗料もちゃんとありますのでご安心下さい。
これで、屋根の塗装は終了です。
雨からお家を守る大切な部分です。
痛みも、日々過酷な環境にあるので、
痛みも早く外壁塗装をするタイミングで屋根も一緒にメンテナンスするお客様が多いです。
ベランダ防水
続いてベランダ防水を行って行きます。
今回のベランダ防水はFRP※防水が下地です。トップコートだけを塗り替えていきます。
※FRPとは「繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)」の略称で、ガラス繊維などの補強材で強化したプラスチック樹脂のことです。
下地がFRPの場合は、FRPの弱点である紫外線から、下地を守るためにトップコートだけを塗り替えます。
下地処理
劣化して剥がれてきた塗膜を慣らします。
防水も下地が命です
FRPトップコート
ウレタン系トップコートを塗り重ねます。
乾燥させて完了です。
乾燥したら、
散水して、水たまりが出来ないかテストします。
メンテナンス期間は、
5年~6年と外装で一番メンテナンス間隔が短い部分です。
ベランダがあるお客様はだいたい塗装と一緒に塗り替えます。
仕上げと検査
完了後は、
出来ればお客様と一緒に気になるところを探していきます。
現場監督の僕も、まんべんなくチェックしているつもりですが、
どうしても抜ける部分があるのと、
必ずしも、僕の気になる部分とお客様の気になる部分が一緒とは限らない為、一緒に見て回ります。
足場に登る必要があるところは、僕がチェック
一通り検査が終わったら完成です。
お客様に喜んで頂けました。一安心です。
屋根まわり
綺麗に仕上がってます。
玄関まわりも、
綺麗に仕上がりました。
忘れちゃいけないのが、こちらのお宅
築20年オーバーですからね。我ながら美しく仕上げられたと思います。
気になる部分も、この通り、雨染みがあったようには思えません。
塗装など防水工事の必要性
塗装などの防水工事はお家を長持ちさせてくれます。
しかし、全ての人がやらなくてはいけないかと言うとそういうわけではありません。
詳しくは、コチラの記事で解説していますので、是非みてみて下さい。
外壁塗装は必要ない?お金がない?必要性を専門家が解説年々材料費の高騰もあり、
2023年5月現在、塗料の金額が最大40%も値上がりした商品もあるというほど、
建築資材の値上がりは止まりません。
外壁、屋根など高額リフォーム工事は、
飛び込み業者だけの話で簡単に決めてしまったりせず、
今のお家の状態で、本当に必要なのかを真剣に考えて見てください。
手抜き工事の見極め方
ここでは、よくある手抜き業者さんがやる。
手抜き方法を解説します。
僕自身何度か、これをやろうとした業者さんを目撃した経験があります。
現場監督はもちろん目を光らせてる必要はあるのですが、
お客様自身も、こんな業者さんには注意が必要という意味で、紹介していきたいと思います。
シーリングを打ち替えようとしない
増し打ちで済ませようとする
増し打ちとは、今あるシーリングを撤去せず、上から新しいシーリング材を重ねて打つ事
シーリングの打ち替えは手間がかかるので、嫌がる業者さんが多いです。
問題なさそうなところは、打ち替えしなかったり、全撤去しなかったりする職人さんもいるので注意が必要です。
全部撤去するとこれくらいの量のシーリング材が回収できます。
またまた、シーリング系ですが、
プライマー塗布をやらない
これは、かなり多いです。
やらない業者さんがほとんどです。
絶対にやった方が良い必須工程ですが、
- 工事直後にやったかどうか分からないこと
- 手間が結構かかること
- 建築基準法などによる定めがないこと
このことから、
手を抜く業者さんが多いです。
下地処理や清掃
ビックリしますよね。
下地処理を怠る職人さんも結構います。
塗装や防水は、下地が命です。
ゴミなど、凹凸が残っている場合は指摘しましょう。
ベランダなんかは特に、お客様でも確認出来るので、
気になったら現場監督さんに言うと良いですよ。
検査しない
塗装が終わったら、ハイ終わり!なんて業者さんも多いです。
お客様自身も、
可能なら検査に立ち会いたい旨、業者さんに言っておくと良いですよ。
まとめ
如何でしたでしょうか。
外壁、屋根塗装工事やベランダ防水工事の正しいやり方を解説してきました。
リフォーム工事というのは、
建築基準法により定められている部分が少なく、
思っている以上に、自由に工事方法などを決めれます。
ゆえに、悪質な手抜きをする業者さんは結構います。
安心して任せられる業者さんをお抱えの方はいいかもしれませんが、
そうでない方はある程度知識を持ってリフォーム工事をする事をオススメしています。
参考になれば嬉しいです^^
最後までお読み頂きありがとうございました!それではまた~。